CSなのにインプラント その3
この日の手術は上顎の骨にチタンで出来た土台(ほとんどネジです)を埋め込む手術です。このチタンの土台がしっかりと骨と結合すれば、ほぼ成功です。始めはこの土台の材質をセラミックにしようかと医師に相談したんですが「まだ“えびでんす”が少ないですからねー」「あー“えびでんす”って臨床の実績ですねー」と言うことで、あっさりチタンになりました。
まず簡単な説明を受けた後、麻酔注射を打って暫く待たされました。その間後の方では器具をガシャガシャ洗う音がしてやがて先生と助手の方があの手術着を着て登場です。
「それでは始めますけど、途中で何かあったら遠慮なく言ってくださいね。じゃ口を大きく開けて下さい。」と言われるままに開けたら、顔の大きさ位で、鼻と口の部分が開いている裏に粘着剤の付いたプラスチックの少し柔らかいプレートを顔に貼り付けられました。“うわぁー何か嫌だ”と思った途端に不安感とドキドキ感が襲って来ます。すかさず自律訓練法で気持ちを落ち着かせ、臭いが気になることもなくなりました。そして、口は閉じられなくなり(後でもう一つ固定用の器具が口に入ります)、目も見えないので、なすがまま、手術が始まりました。
手順を簡単に言うと、歯茎を切って上顎の骨に穴を開けてチタンの土台をねじ込んで固定するのでしょうが、目も見えないし、口ももちろん開いたままだし、先生も実況中継するわけではないので、何をやっているのかはよく分かりません。痛みは麻酔が効いているので無いのですけど、気が付くと足や手の指に力が入って心拍数も上がっています。すかさず自律訓練法で力を抜いて落ち着かせても「痛みは無いですかー」なんて聞かれる度に元に戻ってしまうのでした。
そこで、何か身体に接触している物を使ってひとり手当セラピーをやろうかと意識で探すと、そういえば歯科助手の方の大腿外側部が私の肩に当たっている。たぶん口の中を覗き込むのに私の肩を使ってバランス取っているんだなと思った途端、何か温かい物が身体中を巡り出しました。初めててあてセラピーを受けた時と同じ様な感覚。余計な力が抜けて不安や恐怖が無くなって行きます。この人の身体が動いて肩から外れたらどうしようかとふっと思いましたが、この状態に入ってしまうとそんな事も気にならなくなります。“歯の手術の方は先生頑張ってください。私はこっちでうとうとしているので”という感じです。眠っているようにリラックスしているのだけど、意識はしっかりあるあの感じです。(これは体験した事がないと分からないと思いますが)
やがてガリガリ骨を削りウィンウィンという音と、最後にカツンと頭蓋骨に振動が走り、チタンのインプラントがねじ込まれました。後は傷口を縫って終了です。
「はい。じゃ手術終わりです。何処か痛い所無いですかー」と聞かれて、伸びをして起き上がりたい衝動を抑えつつ、まだ顔に張り付いているプレートの想像以上に強い接着力で、顔を引っ張られながら剥がされて、やっと目が覚めて手術は終了しました。
この後インプラントが骨に結合するのを3ヶ月程待ってから義歯が付きます。今は仮歯が付いていますが、特に目立った問題は有りません。
この3回に渡るブログでは少し軽めの文章で書かせて頂きましたが、この件では私も色々と気付かされた事が多かったです。みなさん気付かれましたか?
次回はそのまとめを書きます。これからの施術方法の参考にもなりました。