ベンゾジアゼピン系抗不安薬って知っていますか?

知らないで服用していませんか?

 CS支援センターの会報で私の記事を読んだという方から施術を受けたいという電話がありました。お子さん(30歳代)がCSでそのお母さんからでした。お子さんは7年前にシックハウスが原因でCSになり、近頃調子が悪く体が熱くてたまらない、食事も僅かしか食べられないという話しでした。

 7年前からデパスという抗不安薬を服用していましたが、5か月前からレキソタンという薬にして、このレキソタンに暴露したのが原因と思われている様です。 お子さんは不安定になり自分の頭を叩いたり大きな声を上げたり暴力的になる時もあるみたいです。

 化学物質過敏症でこのような症状はあまり聞いたことがなかったので、CS専門のお医者さんに診断してもらったか尋ねたのですが、 この方は外出できないので、お母さんが病状を伝えたところ化学物質過敏症の可能性があるという診断だったそうです。薬について尋ねたところ、内科のお医者さんでもらっているのでそんなに強い薬ではないというお話でした。

 不安定な状態でしたので、ご本人が施術を受けたくないと思っている場合は無理ですとお伝えしたのですが、どうしてもお願いしますという事で日程を調節して早めの訪問を決めました。しかし前日になって不安定な状態になったので難しいかも知れないという連絡があり、当日朝に連絡したところやはりこの方はかなり嫌がっている様です。大きな声が電話口から聞こえてきます。私が訪問する事で悪化したのでは意味がないので結局キャンセルとなりました。

 当初ミネラル不足から不安定になっているのかと思い、持っていく予定だったお茶等のサンプルを郵送しましたが、結局匂いが気になるのか飲めないみたいでした。

 気になっていた事 1.暴露という言葉がどこから出て来たのか。2.この薬はどのような薬なのか? 調べてみました。

1. 化学物質過敏症患者が暴露したというとその化学物質に反応して症状が発現したという事になり、一般の人には問題はなくCS患者固有の反応という感じになります。お茶のサンプルを送った後にご連絡をいただいたので、その暴露という言葉が医師などから言われた言葉なのか尋ねたところそうではなく、誰かに相談したらそういう言葉が出て来たそうです。根拠のない暴露です。化学物質に暴露したのではなく、薬の副作用の可能性があります。

2. デパスとレキソタンはベンゾジアゼピン系抗不安薬で、決して軽い薬ではなく長期間の服用や摂取量によっては依存性がある薬のようです。初めは不眠程度の症状で、その薬を指示通り規定量を投与されていたのに関わらず、症状が悪化して寝たきりになり薬害訴訟に至るケースもあるようです。また、急に止めると離脱症状と言って様々な辛い症状が出てくるという事が分かりました。身体が熱いというのも離脱症状かも知れません。海外ではできるだけ短期間にとどめるよう推奨・規制されている国もあり、一部の国では1-2週までに規制されているとのことですが、日本では1回につき30日の処方日数制限があるものの、エンドレスで処方可能です。

 この方の例では長期服用した後(2か所の病院から薬を同時に貰っていたとか)、薬を変えて、合わなかったのか症状が悪化して、医師に相談もなくいきなり薬を止めてしまいました。たぶん化学物質に暴露したと判断したからでしょう。早めに専門医を受診するようにアドバイスしましたが、全て化学物質過敏症からくる症状と思い込んでいるようでした。

 調べてみると私もCSの診断を受ける直前に内科でコンスタンというベンゾジアゼピン系の薬を服用していました。お薬手帳を見ると通常1日3回服用のところを1回で夜だけにして、辛い日だけ4か月ほど服用していました。 仕事に行かなければならないのに寝られなくなり、とても辛かった症状が少し良くなった記憶があります。 おかげさまで依存や離脱反応は全く気にはなりませんでした。 その時は大量に服用してはいけないと薬だと薄々知っていましたが、依存性の有る薬であるという事は知らないで服用していました。もし大量投与されていてたら今どうなっていたか分かりません。

当時は薬とその時の症状を結び付けて考える事は全くありませんでしたが、今考えるといつも利用しているターミナル駅で30分ぐらい道に迷ったり、バスに乗っていたら急に自分が自分で無くなる様な感じに襲われたり、その発症時期と薬の因果関係は今ではあやふやですが、そんな不思議な感覚を味わったことが有りました。

 この方はインターネットが使えないみたいでしたので、全国ベンゾジアゼピン薬害連絡協議会からダウンロードした資料をお送りしました。化学物質過敏症の症状に薬の離脱症状まで加わるのはさぞかし辛いでしょう。この資料を読んで今服用している薬の副作用の可能性がある事を理解して頂きました。これから信頼出来る専門医を探す事になります。

 今もしベンゾジアゼピン系の薬を服用している方がいましたら、ご自分が服用している薬の量と期間が適正であるか良く調べて下さい。1ヶ所の病院で出せる薬の量には上限があるので、薬が足りなくなって複数の病院から貰う人もいるそうです。その様な事は止めた方がいいですよ。そして自分の判断でいきなり薬を止めないで下さい。以前よりひどい離脱症状が出現する可能性があるそうです。でもこの薬で普通の生活を送れる様になった方もいます。信頼できる専門医を受診して下さい。

 漫然と全て化学物質が原因と考えていたら辛い状況から中々脱却できません。もう少し落ち着いたら私の施術も受けられると思います。こういう方の身体は過緊張があり、正常な状態を忘れてしまうのです。それを緩めて正常な状態を身体が思い出せれば楽になって行くでしょう。

全国ベンゾジアゼピン薬害連絡協議会ホームページから引用↓

ベンゾジアゼピンを服用した結果、新たに生じた症状は、元からの疾患(原疾患)ではありません。すべて、ベンゾジアゼピンの副作用です。