4.匂いについて その1

 一般的に化学物質過敏症患者は柔軟剤等の香料に過敏な人という印象が広まっている様な感じがしますが、そうであれば化学物質過敏症患ではなく、香料過敏症という病名でもよいのではないかと思います。私は匂いを感じなくても具合が悪くなることもありますし、逆に匂いを感じても大丈夫な時も有ります。

 ここでお話しする“匂い”については、あくまで私の経験に基づいての考察であり、全てが科学的に立証されたものではありません。しかし、化学物質過敏症と匂いの関連性について書かれた文献はほとんどなく、ご自分の体験と比較して頂いて、そうだったのか!!と思っていただける箇所があれば幸いです。

柔軟剤の匂い

 大量に香料が添加された柔軟剤が好きで、喜んでその様な柔軟剤を使う人も居れば、私達の様に苦手で逃げまわる?人も居ます。同じ匂いを嗅いで”いい香り”と感じる人もいれば、”嫌な臭い”と感じる人が居るのは何故でしょうか?

 化学物質過敏症を発症してから、整体を学びに学校に通っていた時のこと。同じように整体を学んでいる人たちは沢山いて、その人たちは柔軟剤を使っていました。それでも一般的な昔からの強い匂いのしない柔軟剤を使っている人が殆どで、何とか学校に通っていました。でも時々強烈な匂いの柔軟剤を使っている人が居ました。親しい人ならばハッキリ言えるのですが、そもそも強い匂いの人は避けていたので親しくもならず、ただひたすら逃げていました。ある日、親しくしていた男性が突然強烈な匂いの柔軟剤を使って来たので(その人は私が化学物質過敏症でその様な柔軟剤が苦手という事を知っていました)聞いてみました。

 ご本人は強い匂いという認識は無く、奥さんが柔軟剤を変えただけという感じみたいでした。私が強い匂いの柔軟剤が苦手なのは知っていたのですが、これがその柔軟剤とは思ってもいなかった様子でした。私がその柔軟剤から感じるシンナーの様なカツンと来るキツイ匂いも感じないみたいで平気な顔をして着ていました。ご本人は”いい匂い”と言っていました。私は具合が悪くなるのに。後で教えていただいたのですが、その柔軟剤はやはり今流行のマイクロカプセルを使っている匂い長持ち香りを楽しむ…というものでした。

匂いの感じ方は人により結構違う

 もう10年以上前、まだ化学物質過敏症を発症する以前に40度近くの高熱を出して寝込んだ事が有ります。ちょうど今の新型コロナの様な感じでしょうか、インフルエンザの抗原検査も陰性でした。熱が下がった後、一週間近く匂いが全く感じられず、食べ物の味も分かりませんでした。その後徐々に嗅覚は回復したものの、この時を境に匂いの感じ方は変わってしまいました。今まで苦手だった新車の様なビニール臭やクサイ匂いは感じにくくなり、食べすぎると気分が悪くなるゆで卵が大丈夫になりました。

 その後化学物質過敏症を発症して(嗅覚異常も発症の原因となったのかも知れません)ドクターショッピングを繰り返していた時、この嗅覚異常が治れば症状も良くなるのではないかと思い耳鼻咽喉科専科を受診してみました。結果から言うと嗅覚の検査(基準嗅覚検査)をしておしまいという感じでした。当時は”軽度の嗅覚異常が有ります”と言われただけで、特に検査の説明もなく検査結果が書かれた紙を渡されただけで帰りましたが、今考えてみると匂いの感じ方が違う説明が付く様な気がします。

基準嗅覚検査について

このキットは 5 種類のにおいが、それぞれ7~8段階の濃度で構成されています。
〈検査手順〉
1. スティック状の紙を5種類のにおいの液体それぞれにつけ、においを嗅ぎます。
2. 何かにおいが感じられるか確認します。
3. さらに、どんなにおいか表現します(例えば、花の様なにおい など)。

私の基準嗅覚検査結果。診断結果は”軽度”だそうです。<A>の嗅覚損失が大きい事がわかります。

  • A.バラの花のにおい。軽くて甘いにおい。
  • B.焦げたにおい。カラメルのにおい。
  • C.腐敗臭、古靴下のにおい。汗臭いにおい。納豆のにおい。
  • D.桃の缶詰。甘くて重いにおい。
  • E.糞臭。野菜くずのにおい。口臭、いやなにおい。
  • ○:においを感じたところ。×どんなにおいか分かったところ。

 上の検査結果から分かる様に私はバラの花の香りの様な匂いが感じにくいみたいです。実はこの検査をするまでは<E>の糞臭が感じなくなっているという実感は有ったのですが、バラの花の様な匂いが感じにくいという実感は有りませんでした。

柔軟剤等の匂いが苦手な理由

 香りを謳い文句にしている柔軟剤は数十種類の香料を専門の調香師さんが組み合わせて作っているみたいです。ですから良い香りと感じるのではないでしょうか?しかし、柔軟剤にしろ合成洗剤にしろ、消臭、帯電防止、しわ防止、速乾、抗菌、香りセンサー、マイクロカプセル等色々な機能を持たせた薬品が使用されています。もしも香料を使わずに製造したらどんな匂いがするのか考えた事は有りますか。ただの香り付けの為の香料では無く、これらの薬品の匂いを覆い隠す為に強い香料を使用しているのではないでしょうか?

 この様な柔軟剤や合成洗剤でも、一般の人はバラの香りでごまかせばよい匂いと感じるのかも知れませんが、私の様に嗅覚の異常が有る人は一定数居るはずです。(新型コロナの後遺症として嗅覚異常を訴える人が増えているようです)覆い隠す為に調合した香料に対して感度が鈍ければ、化学物質の匂いをダイレクトに感じてしまいます。私がシンナーの様なキツイ匂いを感じるのは、このバラの香りが感じにくいからだと考えられないでしょうか。

 化学物質過敏症患者は一般的には、柔軟剤や合成洗剤の香料に反応して体調が悪化すると考えられているみたいですが、実はその香料だけではなく、香料によって隠されている化学物質にも反応しているのではないでしょうか? 

 天然の香料を調合して作り上げる香水ならば、この覆い隠す匂いが少ないのか、カツンと来る嫌な感覚は有りません。今流行の柔軟剤や合成洗剤には色々な機能を持たせる為の化学物質が隠されています。

 そして匂いと体調不良の感覚が結びついてしまうと他の(今までは反応しなかった)匂いに対しても反応が出てしまうのです。また、体調が悪くなるには匂いによる記憶の再現など色々な要因が有るでしょう。

その2へ続く