化学物質過敏症について考える(2)

全ての体調不良を化学物質のせいにしていませんか

 当たり前の話しですが、化学物質が原因ではなくても身体の不調は有ります。それなのに全て化学物質のせいにしていませんか?『私は化学物質が原因のときは分かるんです!』なんて断定する人もいますが、いいえ、わからないものです。もう一度その感覚を疑ってみて下さい。

・CSの症状と混同し易い病気、症例のほんの一例

 気象病: 天候の変化や台風からの気圧のさざ波で発症。天気予報である程度事前に予測できる。スマホのアプリ有り。

 低周波音症候群: 低周波の空気振動(音)で発症。エネファーム(家庭用燃料電池)やヒートポンプ、工場の機械音等。電磁波と混同している人が多い。(電磁波は空気の振動ではない)

 二酸化炭素濃度の上昇による不調: 外部からの化学物質の侵入を恐れ、家中を目張りしてしまうと二酸化炭素濃度が上昇して発症する。密閉性の高いマスクでも発症する可能性がある。室内であればCO2センサーで管理可能。自然の屋外の二酸化炭素濃度レベルは、400ppm程度。約1,000ppmで20%程度の人が不快感、眠気を感じ、2000ppmでは大部分の人が不快感、頭痛、めまいや吐き気を発症すると言われている。
換気の悪い室内では簡単に1,000ppmを超える。良かれと思ってやっている事が病態を悪化させている可能性がある。循環しない空気も悪影響。

 薬やアルコール中毒: 特に精神安定剤、睡眠薬の長期服用、オーバードーズ。副反応、離脱症状、皮膚の異常感覚等をCSの症状と誤解する人もいる。断薬には専門医の受診を推奨。

 身体の凝り、眼精疲労: 首から肩にかけての凝り。頭痛、耳鳴り目眩等の原因となり得る。CS患者は異常に凝っている人が多いが本人は気が付いていない。パソコンやタブレット、ゲーム機での症状は電磁波ではなく、眼精疲労や凝りが原因である事が多い。

 花粉、黄砂、PM2.5: 鼻水や目のかゆみ以外にも頭痛や耳鳴り等の症状が出ることがある。

 心身症: ストレスの影響が身体に現れる病気。身体の病気であり、精神病ではない。症状は多岐に渡る。

 ES(電磁波過敏症)については記載していません。CSを発症してからESを発症する方も多いみたいですが、何故不調の原因を電磁波と判断したのかもう一度考えてみて下さい。

 私は以下の理由により、ESについては懐疑的に考えています。

  • 電磁波と化学物質の物質的関連性は無い。
  • CSを発症してから複数の人からESになると言われた(暗示作用)
  • ESなのに電磁波の知識が乏しい人が多い。音は電磁波ではない。光は電磁波と言うと驚く。スマホは使うのにWi-Fiやスマートメーターを避ける。5Gはダメなのに車のレーダー波は気にしない。
  • 電磁波はピリピリ、ビリビリすると思っている。(電気や静電気との混同、皮膚の異常)等々

 ここで勘違いしないで頂きたいのですが、電磁波は安全と言っている訳では有りません。しかし、危険と過敏は違うという事です。

 色々例を挙げましたが、誰だって体調が優れない時は有ります。どうしてもダメな化学物質は私も有ります。でも、体調が悪くなった時に化学物質に接したかどうかと言う事を無理やり思い出して、症状と化学物質を紐づけしていないでしょうか?それで楽になればよいですが、苦手な化学物質を増やして苦しくなりませんか?化学物質を原因と決める前に他の原因も疑ってみてください。

つづく…