ベンゾジアゼピン系抗不安薬って知っていますか? 補足
この薬の副作用を化学物質過敏症や電磁波過敏症の症状と混同してしまう可能性があるのでは?
化学物質過敏症になると色々な不定愁訴に悩まされます。不眠、不安、めまい、息切れ、手足の冷え、全身倦怠感、頭痛、頭重、肩こり、イライラ感 等々。そこで以下のような経緯でベンゾジアゼピンの服用を始めて悪化させている人達もいるのではないでしょうか?
- 不眠や不安で辛いので、とりあえず近所の病院に行って抗不安薬を貰って服用を始める。お医者さんも規定量、あるいはそれ以下の薬量を処方する。内科や整形外科(筋弛緩効果が有るので肩凝りでも処方される事が有るとか)でも処方されるので説明がなければ強い薬とは思わず、依存性がある薬とも知らないで服用を始める。
- すると今まで辛かった症状が良くなって仕事や家事など以前の生活が出来るようになる。
- 暫く服用しているとまた同じ症状が発症する。病院に行って薬を増やしてもらう。あるいは病院での薬の投薬量は決まっているので、増やせないとなると、医師には内緒で複数の病院に行って薬を貰う(薬剤の耐性と依存)。
- 規定量の薬でも長期間服用すると依存性が形成されてしまう(常用量依存)。日本では 継続処方期間制限が設けられていないため漫然と長期服用してしまうケースが多い。 また、中止によって離脱症状が現れる。
- 依存と耐性によって 薬剤投与前にはなかった症状が出現する。 睡眠障害、易刺激性(不機嫌な対応)、不安と緊張の増加、パニック発作、手の震え、発汗、集中困難、混乱と認識困難、記憶の問題、吐き気やむかつき、体重減少、動悸、頭痛、筋肉の痛みと凝り、多くの知覚変化等。
- この症状は、化学物質過敏症の悪化や、電磁波過敏症を発症したと勘違いする可能性がある。今まで感じなかった嗅覚の異常や知覚変化による皮膚のピリピリ感、音や振動による不定愁訴等。しかし、本人はすべてが化学物質や電磁波の影響と考える。
- 薬剤を化学物資と捉え、薬をいきなり止めると離脱症状が発症する。 薬剤投与前にはなかった症状が出現する状態(再燃、反跳現象)。 例えば、薬を止めて身体が熱くてたまらない状態を身体が解毒されていると捉える。
薬剤を化学物資と考え 離脱症状を解毒による症状と捉える場合は、化学物質過敏症患者は断薬し易いのかと思うかも知れませんが、その苦しさを考えるとそう簡単にはいかないでしょう。その時の苦しみは最悪な結果を招きかねません。
ベンゾジアゼピン系の薬を服用していて、その副作用や離脱症状を化学物質過敏症や電磁波過敏症、あるいは断薬した時の解毒と勘違いしている人も多いのではないでしょうか?
ベンゾジアゼピン系の薬を服用して社会生活が出来るようになっている人もいます。何年間も服用しても副作用が出ない人もいるそうです。この薬の服用を今すぐに止めましょうと言っている訳でもありません。専門医の指導の下に自分に合った服用または断薬をして下さい。そして、医師に全てを任せるのではなく、ベンゾジアゼピン系の薬を服用しているのなら(他の薬でも同じですが)ご自身で調べて薬に対する正しい知識を身に付けて下さい。 なぜならば、ベンゾジアゼピン系の薬は通常の用量以下の使用でも,長期の服用により依存が形成され,中止によって離脱症状が現れるという常用量依存を起こすことが知られているからです。
今回ご相談を受けた親御さんもこれまで色々な方の意見を聞いて娘さんの病気を治そうと苦労されている様でした。(その意見の中には受け取り方によっては益々悪化してしまう“無農薬食事制限”が有り、この方もほとんど食べられる物がなくなっている様でした。)でも薬の副作用の可能性を言われたのは初めてみたいで、何度か電話でのカウンセリングを繰り返すうちにこの薬を長期間服用している事がわかりました。
このような方は決まって言います「他の人がこうすると治ったと言うとおりにしているのになぜ私(娘)は治らないのでしょう?」それは化学物質過敏症は症例名でその症状の原因は人により違うからです。原因は自分の中に有るのに他人の意見ばかり聞いて自分の身体からの声を聞こうとしていないからです。
ご参考まで ベンゾジアゼピン離脱治療のための手順書 アシュトンマニュアル
薬物名と商品名
- アルプラゾラム ソラナックス、コンスタン、カームダン、メデポリン、抗不安薬
- ブロマゼパム セニラン、レキソタン 抗不安薬
- ブロチゾラム レンドルミン、グッドミン、ロンフルマン、アムネゾン 睡眠薬
- クロルジアゼポキシド コントール、バランス、コンスーン 抗不安薬
- クロナゼパム リボトリール、ランドセン 抗不安薬, 抗てんかん薬
- クロラゼプ酸 メンドン 抗不安薬, 抗てんかん薬
- クロチアゼパム リーゼ、イソクリン 抗不安薬
- クロキサゾラム セパゾン 抗不安薬, 抗てんかん薬
- ジアゼパム セルシン、ホリゾン、ジアパックス、セエルカム、セレナミン 抗不安薬, 抗てんかん薬, 筋弛緩剤
- エスタゾラム ユーロジン 睡眠薬
- エチゾラム デパス、エチカーム、エチゾラン、デゾラム、ノンネルブ、デムナット、モーズン、パルギン 抗不安薬, 睡眠薬
- ロフラゼプ酸エチル メイラックス、ロンラックス 抗不安薬
- フルニトラゼパム ロヒプノール、サイレース、ビビットエース 睡眠薬
- フルラゼパム ダルメート、ベノジール 睡眠薬
- フルトプラゼパム レスタス 睡眠薬, 抗てんかん薬
- ロラゼパム ワイパックス、ユーパン 抗不安薬, 抗てんかん薬
- ロルメタゼパム ロラメット、エバミール 睡眠薬
- メダゼパム レスミット 抗不安薬
- ミダゾラム ドルミカム 睡眠薬, 抗てんかん薬
- ニメタゼパム エリミン 睡眠薬
- ニトラゼパム ベンザリン、ネルボン 睡眠薬, 抗てんかん薬
- プラゼパム セダプラン 抗不安薬
- クアゼパム ドラール 睡眠薬
- トリアゾラム ハルシオン、アスコマーナ、ミンザイン 睡眠薬
以上
*CS支援センター会報113号の事務局だよりでこの投稿が紹介されていますが、この投稿は1つ前の投稿”ベンゾジアゼピン系抗不安薬って知っていますか?”の”補足”と言う意味です。会報の補足という意味ではありません。”ベンゾジアゼピン系抗不安薬って知っていますか?”も合わせてお読み下さい。